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キヤノン、デジタルカメラ2製品を発表――カードサイズコンパクトの『IXY DIGITAL』とCMOSセンサー採用一眼レフ『EOS D30』


2000年5月17日

キヤノン(株)は17日、デジタルカメラの新製品を発表した。コンパクトタイプの『IXY DIGITAL(イクシ デジタル)』と一眼レフタイプの『EOS D30』の2機種。IXY DIGITALは、ほぼカードサイズのスタイリッシュな小型ボディーに211万画素CCDと光学2倍ズームを搭載した普及機。価格は7万4800円で、発売は5月26日。EOS D30は同社が新開発した325万画素のCMOSセンサーを撮像素子に採用。同社の銀塩一眼レフカメラ“EOS”シリーズのレンズ群を利用できる。発売は9月上旬を予定し、価格は35万8000円。キヤノンは“IXY”“EOS”という銀塩カメラで培った2大ブランドを前面に押し出し、出遅れたデジタルカメラ市場で大反撃をかける。

カード大の超コンパクトモデル『IXY DIGITAL』

『キヤノン デジタルカメラ IXY DIGITAL』。レンズを中央に配置したのは「カメラメーカーの意地」だという
『キヤノン デジタルカメラ IXY DIGITAL』。レンズを中央に配置したのは「カメラメーカーの意地」だという



IXY DIGITALの特長は「クラス世界最小・最軽量」(同社)という小型ボディー。幅87×高さ57×奥行き×26.9mmとクレジットカード大のサイズで、同社の同等モデル『PowerShot S10』(幅105.4×高さ69.4×奥行き33.8mm)と比べ、体積で約5割の小型化を実現したという。本体のみの重さは約190gで、S10の約270gと比べ80gの軽量化が図られている。ボディー外装にはステンレスを採用、APSコンパクトカメラのIXYシリーズと同様の四角形と円を基調にしたデザインとなっており、同社では「アクセサリー感覚で身につけられるスタイリッシュなボディーを目指した」という。

撮像素子は1/2.7インチの211万画素CCD(有効画素数は約202万画素)。記録画素数は“ラージ”で1600×1200ドット、“スモール”で640×480ドットで、JPEG形式で保存される。同梱される8MBタイプのコンパクトフラッシュを利用した場合、記録枚数は“スーパーファイン/ラージ”で約4枚、“ファイン/ラージ”で約12枚、“ファイン/スモール”で約46枚となっている。

レンズは焦点距離5.4〜10.8mm(35mmカメラ換算で35〜70mm)の沈胴式2倍ズームで、開放絞り値はワイド端でF2.8、テレ端でF4.0。ガラスモールド製の5群7枚(非球面3枚)。絞り羽根を使わずに真円形絞りを採用したため、絞り開放時などで自然なボケが得られるという。2倍と4倍のデジタルズームと併用すれば最大8倍のズーム撮影が可能だ。通常モードの最短撮影距離は57cm。マクロ時は10cm(ワイド端)までの接写ができる。

撮影面では、シャッターボタンを押してから実際に撮影を行なうまでのレリーズタイムラグが約0.05秒、撮影間隔は約1.7秒(液晶ディスプレーオフ時)、連写は毎秒2コマと高速化が図られている。オートフォーカスはTTL式3点測距の“AiAF”。測距点は被写体に応じてカメラが自動的に選択する。

シャッタースピードは1秒から1/1500秒。測光は中央部重点測光のみ、露出モードはプログラムオートのみ。1/3ステップで+/-2EVまでの露出補正も可能だ。ホワイトバランスはオートとマニュアル(太陽光・くもり・電球・蛍光灯)の2モード。内蔵ストロボはワイド端で3m、テレ端で2mまで離れた被写体に使用でき、スローシンクロモードも備えている。

1.5型のTFT低温ポリシリコン液晶ディスプレーを備え、撮影画像を約2.5倍に拡大して再生することもできる。さらに光学式の実像ズームファインダーも装備。インターフェースはビデオ出力端子(NTSC/PAL対応)とUSBポートを備え、オプションのパソコン接続キット(9000円)に同梱の専用ケーブルを利用してパソコンに画像を転送できる。

電源は同梱の専用リチウムイオン充電池を使用する。記録画像数は、液晶ディスプレーオン時で約85枚、オフ時で約270枚(ストロボを4枚のうち1枚で使用した場合)。連続再生時間は約50分としている。

IXY DIGITALの背面。ボタンが少なくすっきりしている。光学式ファインダーは適度な位置にあり、小さいながらも見やすい
IXY DIGITALの背面。ボタンが少なくすっきりしている。光学式ファインダーは適度な位置にあり、小さいながらも見やすい



IXY DIGITALの上面。シャッターボタンは大きくて押しやすいものの、電源ボタンがやや小さな印象
IXY DIGITALの上面。シャッターボタンは大きくて押しやすいものの、電源ボタンがやや小さな印象



沈胴式レンズは電源オフ時は完全に収納され、本体前面は突起物のないフラットな外観になる。起動時間は実測で約2秒程度。ちなみに製品プロモーションにはプロサッカー選手の中田英寿選手を起用
沈胴式レンズは電源オフ時は完全に収納され、本体前面は突起物のないフラットな外観になる。起動時間は実測で約2秒程度。ちなみに製品プロモーションにはプロサッカー選手の中田英寿選手を起用



325万画素のCMOSセンサーを採用したレンズ交換式一眼レフデジタルカメラ『EOS D30』

『キヤノン EOS D30』
『キヤノン EOS D30』



EOS D30はレンズ交換可能なフォーカルプレーンシャッター式一眼レフデジタルカメラ。キヤノンは開発表明の際、撮像素子を“300万画素以上”とアナウンスしていた。35mm用レンズが利用可能なことから、センサーの大きさは最低でもAPSフィルムサイズと予想されたが、条件を満たすCCDユニットがないため、搭載されるセンサーについてはさまざまな憶測を呼んでいた。

D30に搭載されるCMOSセンサー
D30に搭載されるCMOSセンサー



D30に搭載されるCMOSセンサーは、総画素数が約325万画素、有効画素数は約311万画素。センサーのサイズは24.9×18.1mm、有効センサーサイズは22.7×15.1mm(APSフμィルムのCサイズと同等)。記録画素数は2160×1440ドットで、35mmフィルムなどと同じ3:2のアスペクト比を採用した。画素は10.5μm正方。原色フィルターを採用する。

CMOSセンサーは低消費電力で信号出力が早いという利点があるにもかかわらず、利用は低価格デジタルカメラなどにとどまっていた。CMOSでは画素ごとの信号出力電圧にばらつきが大きく、結果としてノイズが多くなり高い画質が望めないためだ。キヤノンではこの問題を解決するため、あらかじめノイズ成分を読み出しておき、撮影後に画像信号からノイズ成分を減算する回路をセンサーに組み込んだ。またPGA(Programmable Gain Amp)をオンチップ化して搭載し、ノイズ除去と高速な信号読み出しを可能にしたという。

キヤノンによれば、同クラスのCCDと比べ消費電力は約1/5に抑えることができ、デジタルカメラ全体では約2割の節電が可能という。これに加えて高感度化を実現し、感度はISOの100から1600まで設定可能となっている。高画素で大型のCMOSセンサーを高級デジタルカメラの撮像素子として採用したのはD30が初めてとなる。

D30はプロ用の『EOS D6000』などと同様、キヤノンEFマウントを採用。これにより『EF1200mm F5.6L USM』といった超望遠レンズやアオリ撮影が可能なシフトレンズまで、同社のEFレンズ全56本が完全に利用できる。ただしCMOSセンサーのサイズがAPSサイズのため、画角は35mmフィルムの場合の1.6倍となり、超広角ズーム『EF17-35mm F2.8L USM』の場合は27〜56mm相当となる(ただし高画質なレンズ中央部を利用できるメリットはある)。

基本スペックとしては、シャッタースピードは30秒から1/4000秒、バルブも使用可能。ストロボ同調速度は1/200。ファインダー視野率は95%、倍率は0.88倍、アイポイントは20mm。

AFはTTL位相差検出方式で、左右と中央の3点測距。中央がクロスセンサー、左右2点は水平センサー。測距点は電子ダイヤルで選択できるが、ファインダー内の測距点フレームにスーパーインポーズは行なわれず、ファインダー下部のLEDインジケーターで確認する。AF性能は『EOS 55』と同等とし、動体予測性能は『EF300mm F2.8L USM』使用時で、時速50kmで接近する被写体を約12mまで追従できるという。AF補助光投射ユニットも装備した。

測光は『EOS New Kiss』と同じAEモジュールによる35分割評価測光を行なう。撮影モードはマニュアルとプログラム/シャッター優先/絞り優先の各AEに加え、キヤノンお得意の被写界深度優先AEも備えた。さらにポートレートや風景、夜景など5種類の“イメージセレクトモード”を備えた。これら撮影モードは本体上部のモードダイヤルで切り替えられる。露出補正は1/2か1/3ステップで+/-2EVまで可能な上、3段階のオートブラケティング機能も搭載した。

16MBのバッファメモリーを内蔵し、毎秒3コマの連写が可能。リトラクタブル式の内蔵ストロボはガイドナンバー12、18mm相当の画角に対応。さらに同社のストロボ調光技術“E-TTL”により、ストロボ撮影時に自然な描写が可能になっているという。調光補正も本体から行なえる。

記録メディアはコンパクトフラッシュで、スロットはType II対応のため日本アイ・ビー・エム(株)のマイクロドライブを利用できる。画像形式はJPEGとRAW。同梱される16MBのコンパクトフラッシュを使用すれば、“Large/Fine”時で約12コマの記録が可能だ。

ボディーにはメインとサブの2つの電子ダイヤルを装備。プレビューボタンやファインダーの視度補正ダイヤルも備えている。液晶ディスプレーは1.8インチのTFT。撮影画像の再生のほか、ヒストグラム表示も可能だ。インターフェースはビデオ出力端子(NTSC/PAL)とUSB。IEEE1394端子ではなくUSBを採用したのは、「多くのユーザーに対応するため」(同社)という。

電源は専用リチウムイオン充電池を使用。撮影可能なコマ数は約540コマとしている。

本体サイズは幅149.5×高さ106.5×奥行き75mm、重さ750g(本体のみ)。

D30の背面部。2つの電子ダイヤルなど、液晶ディスプレー以外は銀塩のEOSを完全に踏襲しているのが分かる。撮影間隔は体感では35mmカメラと同様の早さ。連写はバッファー容量いっぱいまで可能で、その後は書き込みが始まり、終了まで撮影が不可能になる
D30の背面部。2つの電子ダイヤルなど、液晶ディスプレー以外は銀塩のEOSを完全に踏襲しているのが分かる。撮影間隔は体感では35mmカメラと同様の早さ。連写はバッファー容量いっぱいまで可能で、その後は書き込みが始まり、終了まで撮影が不可能になる



本体下部に装着しているのはオプションの『バッテリーグリップ』(2万円)。これにより撮影可能枚数が2倍になる上、縦位置撮影用のシャッターボタンや測距点選択ボタンも装備している。これらのボタンは「設計屋泣かせだが、どうしても装備しろと言われる」と担当者。キヤノンのカメラ作りの姿勢がうかがえる
本体下部に装着しているのはオプションの『バッテリーグリップ』(2万円)。これにより撮影可能枚数が2倍になる上、縦位置撮影用のシャッターボタンや測距点選択ボタンも装備している。これらのボタンは「設計屋泣かせだが、どうしても装備しろと言われる」と担当者。キヤノンのカメラ作りの姿勢がうかがえる



「デジタルカメラでもトップを目指す」

発表会はフラッグシップ機の発表と同様の大がかりなもの。キヤノンの意気込みが分かる
発表会はフラッグシップ機の発表と同様の大がかりなもの。キヤノンの意気込みが分かる



都内で開かれた新製品発表会で、キヤノン社長の御手洗冨士夫氏は、「デジタルカメラ市場は急速に拡大しつつあり、キヤノンとしては絶対に負けられない重要な製品。銀塩カメラの技術と新開発のCMOSセンサーのようなキーコンポーネンツを活かし、猛然とダッシュをかけて銀塩のようにトップシェアを目指す」と宣言した。2003年から2005年にかけて30%のシェア獲得を狙うという。

キヤノン社長の御手洗冨士夫氏
キヤノン社長の御手洗冨士夫氏



CMOSセンサーについて御手洗氏は、「永遠に外販はしない。D30のような戦略的商品に搭載し、どんどん画素数も上げていく」と述べた。当面はコンパクトタイプのデジタルカメラに採用する予定はなく、よりサイズの大きいモジュール開発を手掛けていくという。

(編集部 小林伸也)


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