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講談社、小学館、富士ゼロックス、マイクロソフトがオンデマンド出版社設立


2001年3月14日

(株)講談社、(株)小学館、富士ゼロックス(株)、マイクロソフト(株)の4社は14日、ネットワークの双方向性を重視したマルチメディア電子出版サービスを提供する“コンテンツワークス株式会社”を設立し、15日に営業を開始すると発表した。

オンデマンド出版だけにとどまらないサービスを

コンテンツワークスは富士ゼロックスが'97年10月からサービスしているオンデマンド出版サービス(※1)事業“BookPark”(※2)を母体として2月15日付けで設立された。本社は東京都文京区で、代表取締役社長には富士ゼロックスでBookPark事業を手がけてきた軒野仁孝氏が就任する。資本金は2億円で、講談社、小学館、富士ゼロックスが30%ずつ、マイクロソフトが10%出資している。

※1 出版社が本を大量に印刷して書店に配本する従来の出版に対して、顧客(読者)の注文に応じてその量だけ本を印刷、製本して顧客に届けるという出版方式。

※2 BookParkは、顧客が読みたいコンテンツ(文字作品)を、ウェブ上で任意に選んで発注すると、1冊ごとに印刷、製品して1週間以内に届けるというサービスを行なっている。複数のコンテンツを注文する場合に、それらを1つの本として表紙や表題を顧客が選んで製本する、カスタマイズ出版サービスも行なっている。2000年3月と7月には、作家の村上龍氏の長編小説を、通常書籍の発行に先駆けて限定部数発行した。現在16の出版社や団体、著作者から約3000タイトルのコンテンツを提供している。

コンテンツワークス軒野社長
コンテンツワークス軒野社長「利用いただくすべての人に「あ、それ欲しかった!」と言っていただけるようにしたい」とコメント

軒野社長によると「コンテンツワークスの事業では、電子書籍の配信機能の提供に重点を置くのでなく、ネットワークの双方向性を生かして、作家や出版社などコンテンツを送る側と、利用する側をシームレスに結びつける、新しい関係のあり方を提供することが目標」という。

コンシューマーとビジネス向けに2つのサービスを提供

コンテンツワークスが提供するサービスは、大きく分けてコンシューマー市場と、ビジネス市場に分かれている。コンシューマー向けではBookParkを基本とするオンデマンド出版サービスが中心。コミックス、文庫、新書などのオンデマンド出版サービス、ビジネス書、学術論文、文芸、教育関連コンテンツのカスタマイズ出版サービス(※3)、さらに著作者からコンテンツ提供を受ける場ともなるコミュニティーサービスの3つとなる。電子出版に関わるコンサルティングやアウトソーシングサービスも請け負う。ここで同社が重視しているのは、軒野社長の言う“新しい関係のありかた”であるコミュニティーサービスで、コンテンツを想像するユーザー、編集に参加するユーザー、プロデューサー型作者のコミュニケーションの場をインフラとして提供するというもの。コンシューマー向けコンテンツでは、講談社と小学館の協力によって、現在約3000タイトルのコンテンツを、年末までに1、2万タイトルに増やすとしている。

一方、ビジネス向けとしてはBookParkで構築したコンテンツの管理、出版、配本システムを、企業向けにアウトソーシングするというもの。具体的には、営業所に配る営業マニュアルや、製造現場における設計図などで、効率的なドキュメントのマネージメントが行なえるとしている。なお、コンシューマー向けサービスは15日に開始されるが、ビジネス向けサービスの開始は5月ころになるという。

サービスの流れ図
サービスの流れ図。入力、管理、出力の3層構造になっている

電子ブックリーダー向け書籍の販売も予定

さらに将来に向けての事業展開としては、マイクロソフトが事業参加することで、.NET(ドットネット)エンタープライズサーバーの上で安価なシステムを構築し、コンテンツ内容をマルチメディア分野にも広げたいとしている。マルチメディア分野においては、マイクロソフトのWindows Media Technologyを利用するという。また今年の秋に登場するという電子ブックリーダーや、Pocket PCへの電子書籍配信も行なう予定。

事業規模予測グラフ
コンテンツワークスの事業規模予測グラフ。オンデマンド出版事業が約60%を占める

現在「BookParkサービスの売り上げは月1000万円弱」(軒野社長)だが、コンテンツワークスでは2003年に9億、2005年に15億円の売り上げを見込むとしている。

将来の事業展開概要
コンテンツワークスが目指す将来の事業展開概要

コンテンツワークスにアドバイザーとして参加する作家の村上龍氏はビデオメッセージのなかで「オンデマンド出版には、紙資源を無駄にせず効率よく提供できるという点で非常に期待している。インターネットビジネスは儲からないということがわかってきたが、こうしたサービスは儲かっているかどうかは別として、社会的に価値のある仕事なのでがんばって欲しい」とエールを送った。なお村上氏は「短編1つをプレゼントしたいという需要もあるのではないか」として新サービスを予定していることも明らかにした。

作家の村上龍氏
作家の村上龍氏「オンデマンド出版は社会的価値の高い仕事」

発表会に出席した講談社の野間省伸取締役は「これまでBookParkに関わってきての問題は、商品認知と価格の問題。“ブックオンデマンド”といっても顧客に届くのはあくまでも本なのだが、そういったことがきちんと認知されていない。これについては小学館と手を組んで認知度を高めていきたい。価格についてはまだまだ高いと感じているが、コストの削減についても議論してきており、認知度も価格もいずれクリアされる」と述べて、新会社へ期待を寄せた。

(編集部 佐々木千之)


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