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角川書店とシャープ、書籍目録ソフトと電子書籍ビューワーを開発


2001年4月13日

(株)角川書店は13日、東京・千代田区の本社で記者発表会を開催し、書籍目録ソフト『BishopLibrary』(ビショップライブラリ)と電子書籍ビューワー『RookView』(ルークビュー)を、シャープ(株)の協力を得て開発したと発表した。角川書店では夏頃にこのソフトを使った2万点の書籍販売を予定しているという。2つのソフトともWindows版のみで現時点でMaintosh版の予定はない。4月19〜22日に東京ビッグサイトで開催される“東京国際ブックフェア2001”の角川書店ブースでデモを行なう。

機能豊富なBishopLibraryとRookView

BishopLibraryは、角川書店グループの電子書籍と実書籍の目録としての機能と、書籍の購入、および、購入した書籍(電子書籍、実書籍)の管理機能を持つ。目録に納められているデータは、表紙画像、書名、著者名、書籍コード、内容紹介文。またユーザーが試し読みできる内容の一部も含まれる。書店の本棚のようなインターフェースで、並び順を書名順や著者名順に変更したり、書名、著者名、内容紹介文から検索したりできる。検索した書籍は、マウスによるドラッグ&ドロップ操作でユーザー専用の“書斎本棚”に移動させることで、電子書籍、実書籍を問わず購入可能にするとしている(後述)。目録検索などの操作はインターネットに接続せず、パソコンだけで行なえるが、書籍を購入するためにはインターネットに接続する必要がある。

シャープ田中秀明係長
シャープ技術本部基板技術研究所の田中秀明係長
BishopLibraryの画面
BishopLibraryの画面。ウインドーは2分割されており、右側が目録データ、左側がユーザーの書斎本棚になっている
右側の目録から左側の書斎本棚にドラッグ&ドロップするか、右下の“バスケット”に入れることで、書籍を購入できる
右側の目録から左側の書斎本棚にドラッグ&ドロップするか、右下の“バスケット”に入れることで、書籍を購入できる。“発送中”となっているのは実書籍を購入したという想定のため

RookViewは、BishopLibraryと組み合わせて使用する電子書籍ビューワーソフト。“pawnファイル”と呼ぶ独自形式の電子書籍ファイルをサポートしている。pawnファイル形式は、電子書籍向けにシャープが開発したもので、コミックスなどの画像ファイルを独自形式で圧縮、表示する。シャープの技術本部基板技術研究所の田中秀明係長は「JPEGなどの圧縮方式に比べて色の階調情報を重視している。またコミックの画のような画像のエッジ部分がぼやけない」としている。コミックスのページのようなフルカラーのスキャン画像ファイルを10分の1以下に圧縮できるという。また小説のページのような文字だけのスキャン画像であれば、さらに圧縮率は向上するとしている。なお、小説などの文字ベースの書籍もスキャンした画像として表示するが、テキストデータを別途持たせることで、本文検索も可能としている。

RookViewの画面サンプル
RookViewの画面。雑誌のページの表示サンプル
pawnファイル形式の文庫を表示させたところ
pawnファイル形式の文庫を表示させたところ。画面をスキャンしたものがそのまま表示されるが、テキスト情報も別途持たせることで、本文検索も行なえる

また、RookViewではコミックスの表示にさまざまな配慮がされている。従来パソコンの画面でコミックスのスキャン画像を表示した場合、網点で表現された部分がモアレ状になる場合が多かったが、RookViewではこのモアレの発生を極力抑えてきれいに表示可能。RookViewではコミックスのページを表示する際、見開きを1度に表示するのが基本で、パソコン画面の解像度によっては、1コマが小さくて見づらい場合があるが、そのような場合に1コマ1コマを拡大表示し、カーソルキーによって読み進んでいく“チェックメイト”機能も備える。さらに、吹き出しの内容の英語訳テキストを小さなウインドーでページ画像上に重ねて表示することも可能。動画やサウンドの再生、URLの埋め込みもサポートする。

RookViewでコミックス“アナザヘヴン”(飯田譲治作)を表示させた
RookViewでコミックス“アナザヘヴン”を表示させたところ。1コマを拡大して表示し、カーソルキーで読み進める。コマのページが移れば、後ろのウインドーのページも自動的に次が開かれる
吹き出しの日本語に対応した英語テキスト情報を表示させた
吹き出しの日本語に対応した英語テキスト情報を表示させたところ。1度にではなく、1つずつ表示させることもできる。また、多国語への対応も可能としている

コンテンツの保護では、シャープが電子書籍向けに開発した独自の暗号を使う。暗号技術の詳細については一切明らかにしなかったが、「比較的軽い処理ですむ暗号」(田中氏)としている。電子書籍の販売においては、パスワードによる方式や、RookViewにユニークIDを埋め込んでそのRookView以外では読めないようにするなど、柔軟な対応が可能としている。なおBishopLibraryとRookViewは、パソコンの高解像度画面を対象に開発されたため、現時点では『Zaurus』などPDAなどへの展開は考えていないというが、「Zaurusでは(画面が狭いため)苦しいが、(広い画面を持つ)Windows CE機ならば技術的には可能」(田中氏)と含みを残した。

夏に専用サイトを立ち上げ書籍販売開始

角川書店の生産管理本部生産管理部の水島真副係長によると、2001年の夏にはBishopLibraryとRookViewをユーザーに配布し、インターネットを通じて角川書店が持つ書籍タイトル2万点(うち電子書籍は数百点)を購入できるようにしたいという。ソフトウェアは目録という性格上、無償で公開したいとしているが、書籍目録データはかなりの容量になるためCD-ROMでの配布となる見込みで、角川書店が発行する雑誌の付録などとしてユーザーに届けたいという。

角川書店の水島真副係長
角川書店の生産管理本部生産管理部の水島真副係長

販売サービス開始時には専用ウェブサイトをオープンし、BishopLibraryで利用できる新刊書籍情報データの提供を予定している。購入した実書籍はユーザーのもとに直接届けられる。電子書籍の場合はインターネットからダウンロードする。小説は1冊当たり1MB程度の容量というが、コミックスなどでは1冊あたり15MB(192ページのコミックスの例)にもなるため、1冊をいくつかに分冊化して提供し、ユーザーが1冊分のデータすべてをダウンロードした段階で、1冊にまとめられるようにするという。なお、書籍販売の詳細については現時点では未定としている。

なお角川書店ではこれまで、電子書籍に関しては“電子文庫パブリ”(※1)を通じて販売を行なっているが、BishopLibraryによる事業はパブリと並行して行なう予定で、「同じ電子書籍タイトルがパブリ向けとBishopLibrary向けに別のファイル形式で提供されることもあり得る」(水島氏)という。ほかの出版社に対して、このBishopLibrary/RookView形式への参加を積極的に呼びかけることは今のところ考えておらず、「まずはブックフェアで公開して見てもらう」(水島氏)というスタンスをとる。

※1 角川書店、講談社、光文社、集英社、新潮社、中央公論新社、徳間書店、文藝春秋の8社が共同で運営している、電子書籍に特化したインターネット書店。現在角川書店はパブリにおいて183点の電子書籍を販売している。

今回角川書店が発表したBishopLibraryは、書籍目録だけでなく自分の書斎本棚が用意され、購入した書籍が本棚に並べられる点は面白いが、これが角川書店の書籍だけに限られてしまうのであれば少々残念。他社も巻き込んだ形で展開されれば、電子書籍、実書籍を区別せず整理できる点でユーザーのメリットはかなり大きいのではないだろうか。また、pawnファイルは、コミックに特化した機能やマルチメディア機能も備え、パソコンで楽しむことを前提にしたユニークなフォーマットだ。多機能ゆえにPDAなどへの展開は厳しいが、今後のブロードバンドネットワークの家庭への普及が進めば、いままでの書籍の枠に収まらない、いろいろな展開が見えてきそうだ。

(編集部 佐々木千之)


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