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アドビ、電子書籍閲覧ソフト『Acrobat eBook Reader』を発表――イーブックが採用決定


2001年4月16日

アドビシステムズ(株)と(株)イーブックイニシアティブジャパンは16日、電子書籍/出版事業に関する共同会見を行ない、イーブックイニシアティブジャパンが、アドビシステムズの電子書籍販売向けサーバー製品『Adobe Content Server 2.0』と電子書籍閲覧ソフト『Adobe Acrobat eBook Reader 2.1 日本語版』を採用した電子書籍コンテンツの販売を開始すると発表した。Content ServerとAcrobat eBook Readerを採用した企業は、イーブックイニシアティブジャパンが国内で初めて。

出版社/オンライン書店向けの電子書籍配信サーバー『Content Server』

Content Serverは、Adobe PDFフォーマットの電子書籍コンテンツを、著作権保護のため暗号化しエンドユーザー向けに配信できるサーバーソフト。エンドユーザーが、パソコン上のAcrobat eBook Readerを利用して電子書籍販売サイトにアクセスし、購入したい電子書籍コンテンツを選択すると、その電子書籍のID情報がサイトからContent Serverに送信される。Content Serverはエンドユーザー側のAcrobat eBook Readerを確認し、電子書籍のバウチャ(領収書)をエンドユーザーのAcrobat eBook Readerに送信、その後ダウンロードサイトから電子書籍(暗号化されたPDF)がエンドユーザーに送られ、エンドユーザーはAcrobat eBook Readerでその電子書籍を閲覧できるようになる。

Content Server画面
『Adobe Content Server』の画面

Content Serverとのやりとりはバックエンドで行なわれるため、エンドユーザーは、Acrobat eBook Readerで販売サイトから購入したい電子書籍をクリックするだけでその電子書籍を閲覧できる。ダウンロードされた電子書籍のコピーや印刷といった二次利用については、出版社などの電子書籍提供側が用途に応じて設定できる。Content Serverには、電子書籍内容の印刷枚数やテキスト抽出回数、貸し借りや譲渡の可否、閲覧時間などを設定できるツールキットが用意されており、出版社側は電子書籍ごとに許諾情報を設定できる。なお、Content Serverには課金機能は搭載されておらず、課金方法はそれぞれの販売サイトが備えている課金システムに依存する。

簡便なユーザーインターフェースの『Acrobat eBook Reader』

Acrobat eBook Reader 2.1は、電子書籍をダウンロード購入し、閲覧するためのソフト。ウェブ閲覧機能を備えており、あらかじめ電子書籍販売サイトのURLを登録しておくと、そのサイトに自動的にアクセスできる。電子書籍の閲覧機能としては、任意のページにしおりをはさんでおくと、そのページに直接ジャンプできるしおり機能や、キーワード検索機能、文章にマーカーでラインを引けるマーカー機能、コメントを追加できる注釈機能などを搭載する。1ページごとの内容表示のほか、見開き表示も可能。

Acrobat eBook Reader 2.1 日本語版画面
『Adobe Acrobat eBook Reader 2.1 日本語版』の画面。電子書籍コンテンツをダウンロードし閲覧できる

また、フォントを鮮明に表示させる独自技術“CoolType”も備えている。CoolTypeは、表示するデバイスの画面表示特性とフォントの特性を考慮し、鮮明な文字表示が行なえるよう表示フォントを選択できるというもの。画面に8つのフォント表示例一覧が表示されるため、ユーザーは自分が見やすいと思うフォントを選択できる。

Acrobat eBook Reader 2.1 日本語版は今夏に無償でダウンロード提供される。対応OSはWindows 95/98/Me/2000/NT4.0、およびMac OS 9.0/9.1。Mac OS Xは未対応。

Content Server 2.0は、今夏より出版社やオンライン書店、取次事業者向けにシステムインテグレーター経由でライセンス販売される。ライセンス料は年間5000ドル(約62万3000円)、ロイヤリティーはコンテンツが1部売れるごとに定価の3%(最低価格は0.12ドル(約15円))。ライセンス契約は、米アドビシステムズ社と結ぶ形となるため価格がドルベースとなっている。対応OSはWindows 2000 ServerまたはNT4.0 Server。

今夏には村上龍氏新刊や有名コミックなどのeBookコンテンツが登場

イーブックイニシアティブジャパンは、Acrobat eBook ReaderとContent Serverのリリースに伴い、これらの製品を利用した電子書籍販売を同社ウェブサイト“10daysbook”で開始する。スタート時には、村上龍氏の書き下ろし新刊(短編)や、ビッグ錠氏、村野守実氏の書き下ろし絵本、モンキー・パンチ氏、里中満智子氏、水木しげる氏のコミックなどが販売される。これらは、Acrobat eBook Reader 2.1 日本語版で閲覧できる初の電子書籍コンテンツとなる。

現在10daysbookサイトでは、シャープ(株)が開発した電子書籍リーダーを利用してコンテンツ販売を行なっているが、今回の提携によりAcrobat eBook Reader用のコンテンツが新たに加わることになる。ユーザーはどちらのコンテンツ形式でも選択可能。

記者会見の会場で、アドビシステムズ(株)代表取締役社長の堀昭一氏は「Acrobat eBook Reader 2.1 日本語版をイーブックイニシアティブジャパンに全面的に採用してもらうことが決まったことで、日本のeBook市場は大幅に拡大すると考える」と挨拶、続いて米アドビシステムズ社製品マーケティングおよび開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのShantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏が「eBookコンテンツは著作権管理が重要だが、一方でユーザーがどこでもコンテンツを入手できるようにしなければならない。それを実現するのが今回の2製品だ」と語った。

また、イーブックイニシアティブジャパンの鈴木雄介代表取締役社長は、「Acrobat eBook Readerには、紙の本と同じような使い勝手を模したインターフェースや、著作権保護、購入手続きの簡便さなどに期待する」としている。

発表会出席者たち
右から、アドビシステムズ(株)代表取締役社長の堀昭一氏、米アドビシステムズ社製品マーケティングおよび開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのShantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏、アドビシステムズマーケティング部ePaperソリューショングループフィールドプロダクトマネージャの石原信義氏、(株)イーブックイニシアティブジャパン代表取締役社長の鈴木雄介氏、漫画家のモンキー・パンチ氏、里中満智子氏

(編集部 桑本美鈴)


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