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日本AMD、DDRメモリー対応製品を発表――発表会にはメモリーメーカーも同席し業界の賛同を得ていることをアピール


2000年10月30日

日本AMD(株)は30日、記者発表会を開催してDDR SDRAM(※1)をサポートするチップセット『AMD-760』と、それに対応する新しいAthlonプロセッサーを発表した。発表会にはメモリーメーカー各社の代表も出席し、業界の支持を得ていることを印象づけた。このAMD-760の発表会は、東京がトップを切り、台湾、パリでも30日付けで発表会を開催するとしている。東京での発表が最初となった背景には、日本に有力なDDR SDRAMメーカーが存在することや、同じく有力なチップセットメーカー、マザーボードメーカーを多数抱える台湾と同日の発表となること(米国での発表では通常アジアでは翌日となってしまう)があるという。

※1 Double Data Rate SDRAM。SDRAMがメモリーバスクロックの1クロックあたり1回のデータ転送を行なうのに対して、倍の2回のデータ転送を行なえるSDRAM。現在の133MHz SDRAMのデータバンド幅は最大で毎秒1.1GBであるが、同じメモリーバスクロックである266MHz DDR SDRAM(PC2100 DDR SDRAM)では、最大毎秒2.1GBとなっている。なお、日本AMDでは、DDR SDRAMでは意味が分かりづらいとし、このメモリーの呼称として多少でもイメージしやすいことから“ダブルデータレート・メモリ(カナ書き)”を使用していくとしている。ただし、これは他社に対して強制力を持つものではなく、業界で統一した呼称が決まればそれに従うという。

“TeamDDR”ロゴをバックに勢揃いした、日本AMD幹部とゲスト
『AMD-760』チップセット

AMD-760(※2)は、今年4月に米ルイジアナ州ニューオリンズで行なわれたWindows関連のシステム開発者向けカンファレンス“WinHEC 2000”において、デモンストレーションなどが行なわれ、今年後半に出荷するとしていたチップセット。AMDは'99年初頭に次世代のパソコン用メモリープラットフォームとして、米ラムバス社のRAMBUS方式でなく、DDR SDRAMを採用するとして、DDR SDRAMの標準化と普及を目指す業界団体“TeamDDR”を、メモリーメーカーやグラフィックチップメーカーなどと設立している。

※2 266MHzのFSB、266MHzのDDR SDRAM、AGP 4X、33MHz/32bitのPCIバスインターフェースを備えるシステムバスコントローラー(ノースブリッジ)『AMD-761』(コードネーム“IGD4”)と、33MHz/32bitのPCIバスインターフェース、EIDEコントローラー(UltraATA/100サポート)、USBポート×4、I/O割り込みインタフェースなどを備えるペリフェラルバスコントローラー(サウスブリッジ)『AMD-766』(コードネーム“Viper+”)の2つのチップで構成されている。

DDRは業界の望むスタンダード

発表会にあたり、日本AMD代表取締役社長兼米AMD社副社長の堺和夫氏は、“本日の発表が真に意味すること”と題したキーノートスピーチを行なった。堺氏は「最近クロック競争においてはまったく負け知らずのAMDだが、本日のダブルデータレート・メモリをサポートする製品の発表は、当社がこの下半期に予定している最も重要な発表だ」と切り出した。

日本AMD代表取締役社長の堺和夫氏

続けて「AMDがなぜ他社と異なるテクノロジーである、ダブルデータレート・メモリを選んだかといえば、AMDが聞く耳を持っていたからにほかならない。1年ほど前にメモリーメーカーなどと会合を持った際に、業界が望むスタンダードが何かが分かり、それらの企業とタスクフォースを組んだ」と述べ、AMDの選択したDDR SDRAMが、インテル社のRAMBUSサポートのような、インテルが選んだ方式をトップダウン式に採用させるのではなく、あくまでも業界が望んだ形での選択であることを強調した。その上で「ダブルデータレート・メモリのテクノロジーは、RAMBUSのような革命型でなく進化型だ。ダブルデータレート・メモリのチップの95パーセントは既存のSDRAMと同じで、製造設備なども既存のものが利用できる。これが進化型のアプローチのメリットだ」と、多くの新規開発投資が必要とされるRAMBUSに対して、既存の資産が多く使えるDDR SDRAMのメリットをあげた。

堺氏はまた「Athlonが15ヵ月前に600MHzで登場して以来、過去にないスピードで高速化が進み、クロックは倍となった。これは競争が市場に活気をもたらした例だ。今やAMDは挑戦する立場でなく、目標となった。自由競争の原理が最高レベルの品質と最低レベルの価格を現実とした」と、インテルとの競争が、消費者にいかにメリットをもたらしたかを述べてスピーチを締めくくった。

AMD-760チップセットの概要

続いて登場した同社取締役の吉沢俊介氏は、12日に発表した2000年度第3四半期の業績が好調だったことを報告し、2000年度のCPU出荷数が2800万個('99年は1880万個)に大きく伸びる見込みであると述べた。また国内のパソコン(ノート、デスクトップを含むメーカー出荷品)におけるAMDのプロセッサーと搭載したパソコンのシェア(日本ガートナーグループ(株)のデータクエスト部門調べ)は、2000年の第2四半期には18.9パーセント(前年同期は12.3パーセント)に達し、いわゆるホワイトボックスPCを加えると20パーセントを超えて「日本で売られるパソコンの5台に1台はAMDだ」と胸をはった。

マイクロンが既存SDRAMとDDRを同じ価格にすると発言

発表会の終わりには、ゲストスピーチとして、日本電気(株)と(株)日立製作所のメモリー部門が合併して設立されたエルピーダメモリ(株)、(株)東芝 セミコンダクター社、日本マイクロン・テクノロジー(株)、(株)メルコ、日本ギガバイト(株)、エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン(株)という、メモリーチップメーカー、メモリーモジュール販売、マザーボードメーカーの代表者が挨拶した。

日本マイクロン・テクノロジー、マーケティング部長の長岐斤夫氏

それぞれの立場からDDR SDRAMの採用に対して協賛の意が示されたが、注目されたのは最後に挨拶に立った日本マイクロン・テクノロジーの長岐斤夫マーケティング部長の「マイクロンはDDR SDRAMを従来のSDRAMと同じ価格で投入する」という発言。この発言を聞いた瞬間、エルピーダメモリの樋口三左男テクニカルマーケティング本部 営業技術部 部長と東芝 セミコンダクター社の斉藤昇三メモリ事業部 DRAM統括部 統括部長は、互いに顔を見合わせ驚きとも苦笑ともとれる表情を浮かべた。

エルピーダメモリが展示していたDDR DIMMのラインアップ
こちらは東芝 セミコンダクター社の256Mbitモジュール

発表会後に説明員に価格について尋ねたところ、エルピーダメモリーは、「DDR SDRAMでは、ラムバス社への特許支払いが発生することもあり、SDRAMと同じ価格ということはない。当初はプレミアが付いて高価になるだろうが、SDRAMに比べて20パーセント程度高い価格を考えている。いずれ10〜15パーセント高というところに落ち着くのではないか」と述べた。東芝 セミコンダクター社はマーケティング担当でないということで返答をいただけなかった。チップメーカーではないが、メルコは「当社は11月末の出荷を予定している。当初の数ヵ月はプレミア価格になることが予想されるが、同クロックのSDRAMの10〜15パーセント高に落ち着くのではないか」という答えだった。

メルコはノートパソコン用も含め豊富なラインアップを予定しているようだ
RAMBUS対DDR SDRAM

次世代のRAM技術として以前から名前が挙がっていた、RAMBUSメモリーのパソコンにおける市場は、当初に比べれば下がってきたとはいえ、まだその価格の高さ、メモリーチップ供給の少なさなどから、まだまだ大きく立ち上がる気配を見せない。当初強力なイニシアティブを発揮すると見られていたインテルも、サポートするチップセットIntel 820の度重なる遅れなどによって、サーバーではDDR SDRAMも採用すると発表するなど、かなりトーンが落ちてきている。起爆剤と思われたPentium 4と、RAMBUSメモリーをサポートするそのチップセットも、発表が11月後半になるとの噂もあり、年内はRAMBUSメモリー関連に大きな動きはなさそうだ。


エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパンが展示していた、AMD-761と台湾VIAテクノロジーズ社のサウスブリッジ『VIA 686B』を採用したマザーボード『K760 Plus』。他社のマザーボードもチップセットはこの組み合わせ

そうした状況で、AMDがメモリーメーカー、マザーボードメーカーなどの支持を得てDDR SDRAMをサポートする製品を発表することとなった。発表会に同席したメモリーメーカーは3社だが、AMDはこれ以外にも韓国のサムスン電子社、現代電子社、独インフィニオンテクノロジーズ社という、有力なメモリーメーカーとも協力関係にある。RAMBUSはRAMチップの構造が異なることで、各社は立ち上げに苦労している。その上RAMBUSメモリーをサポートするインテルチップセットもまだまだ少数派だ。AMDが関連各社の協力を得て、メモリーとチップセットが順調に生産できれば、DDR SDRAMが来年春のパソコン製品で大きなシェアを獲得できそうだ。先手を取ったRAMBUSだが、年末から来年初頭にかけてはDDR SDRAMの大きな波をまともに受けることになる。

(編集部 佐々木千之)


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