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【MACWORLD EXPO/TOKYO Vol.5】アップル新製品に負けず、他社製品も元気だったジョブズ基調講演【詳報】


2001年2月23日

MACWORLD EXPO/TOKYOの開幕イベント、米アップルコンピュータ社CEOスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)による基調講演はいつも通り驚きの連続だった。

人物写真
基調講演のアップルコンピュータ社CEOスティーブ・ジョブズ氏

ジョブズがこの講演で発表したアップル社からの新発表は次の通り:

  1. 新iMac

    • G3 400MHz(CD-ROMドライブ搭載の廉価版、色はインディゴのみ)10万8000円
    • G3 500MHz(CD-RWドライブを搭載し、インディゴ、Flower Power、Blue Dalmatianの3種類が選べるメインストリームモデル)13万8000円
    • 新iMac Special Edition(G3 600MHz、CD-RWドライブ搭載で、色はグラファイト、Flower Power、Blue Dalmatian) 15万8000円

  2. Power Mac G4 Cube

    • 従来モデル 新定価14万8000円(旧16万8000円)
    • 新発表G4 450MHz/CD-RWモデル 18万8000円

  3. GeForce 3

    • (Power Mac G4用BTOオプション)6万8000円

  4. Apple Cinema Display

    • 新価格34万8000円(旧価格42万8000円)

  5. iTunes 1.1

    • (25種以上のサードパーティー製CD-RWに対応)無料

  6. iTools日本語対応

    • 無料

しかし、こうした新製品に負けじと聴衆を驚かせたのは登壇したジョブズ氏のスーツ姿、これを見た瞬間、多くの聴衆は、今日の講演は何かが違うと予感したはずだ。事実、今回の講演では、アップル社の新製品と同じかそれ以上にサードパーティーの新製品の発表がおもしろかった。

これはいい兆候だ。なぜなら、これまではアップルただ1社が頑張っていて、他社がなかなかそれについてこない状態が続いていたからだ。

まず目を引いたのが、Mac OS X紹介の延長線上で紹介されたカナダのエイリアス・ウェーブフロント社のMayaのデモだ。

Mac OS X版Mayaのデモは、これまで米国では既に何回か行なわれている(もっとも直近のものは1月のMACWORLD EXPO/SAN FRANCISCO)が、日本で披露されるのは今回が初めてになる。

エイリアス・ウェーブフロント社ディレクターのリチャード・ケリス氏は、これまでMayaがさまざまな映画などの製作に使われてきた背景を語った後、「3Dモデリングやアニメーション制作をするにあたってPowerPC G4、Mac OS X、そしてOpenGLは最強の組み合わせだ」と強調した。

続いて行なわれたデモでは、簡単なマウス操作で、下の写真1のようなキャラクターの顔を自在に変化させてみせた。

画面写真
Mayaのデモ(写真1)

これだけでも驚いた聴衆は多かったが、カメラを引くと、実はこのキャラクターはヘリコプターの中に座っていた(つまり、このキャラクターの回りにはヘリコプター用のモデルが用意されていた)。しかも、そのヘリコプターは、ヘリポートの上に着陸していた(写真2)。

画面写真
キャラクターの回りにはヘリコプター用のモデル(写真2)

Maya社のデモ担当者が、マウスを上に動かすと、それにあわせてヘリコプターが上昇し、しかも、ヘリコプターの上昇にあわせて、着陸用の脚が自動的に(何の操作もしないでも)ヘリコプターの中に収納され、そしてヘリコプターはどこかへ向かって飛び去っていった(写真3)。

画面写真
着陸用の脚が自動的にヘリコプターの中に収納(写真3)

ヘリコプターはまるで、ゲームソフトのようにマウスの動きに追随し続けた。

Mayaは30日後には登場するMac OS Xの威力を証明する例として紹介された。

ジョブズは講演が始まると、まずこのMac OS Xの話から始め、1月前のMACWORLD EXPO/SAN FRANCISCOでも紹介されなかったいくつかの機能を紹介した。

例えばFinderのツールバーは画面に収まり切らなくなると、“>>”という印が表示され、ここをクリックするとメニュー形式ではみ出た項目が表示されること。

画面写真
Finderのツールバーのデモ(写真4)

もちろん、日本語機能の紹介も行なわれ、その前フリでジョブズ氏はMac OS Xが搭載する日本語文字の数が「1万75000字体」であると述べた。ジョブズ氏は、この「1万7500字体」搭載のおかげで表示が可能になる、異体字を使った名前などをスクリーンに映し出した(写真5)。

画面写真
異体字を使った名前などをスクリーンに(写真5)

目玉は、GeForce 3

ジョブズ基調講演で紹介されたもう1つの目玉サードパーティー製品は米NVIDIA社のGeForce 3だ。5700万トランジスターを内蔵し、7.6GFLOPSのパフォーマンスを達成する。Xbox用グラフィックスチップと共通の基本アーキテクチャーと強力なinfiniteFXエンジンを持つGeForce 3が、PC系のイベントではなく、よりにもよってMacのイベントで発表されたというのは、Macユーザーでなくても衝撃的なニュースだろう(しかも、同製品の情報は、しばらくアップルストアの注文ページにしか掲載されておらず、NVIDIA社の公式声明がリリースされたのは日本時間で昨日深夜のことである)。

この6万8000円BTOオプションの驚異的なパフォーマンスを持つGPUの紹介のために、NVIDIA社は約半年近い歳月をかけて、米ピクサー社の記念碑的CGショートフィルム、“ルクソーJr”をほぼ完全に再現した(このデモをつくった人は、ルクソーJrを何百回も見直したそうだ)。映画版のルクソーJrと、こちらのNVIDIA版が違う点はマウスで自由に視点を変えられること(写真6)。

画面写真
ルクソーJrをほぼ完全に再現(写真6)

「15年前はクレイ社のスーパーコンピューターで1フレームを描くのに3時間かけてつくったフィルムが、今ではリアルタイムにレンダリングできる」とジョブズ氏も感慨深げだったが、聴衆の反応が今ひとつ悪かったこともあり、ジョブズ氏はこれがどれだけすごいことかに熱弁を振るった。

画面写真
DOOM3のイメージ(写真7)

続いて、ゲームソフト“Quake”でお馴染みのidソフトウェア社の顔、ジョン・カーマック氏が壇上に呼ばれ、開発途上のDOOM 3次回作(講演では製品名は明かしていない。それもそのはずで完成はまだ数年先という長期的プロジェクトのようだ)の画面を披露した(写真7)。リアルな肌の質感を持ったグロテスクなエイリアンやらゾンビが、歩き回り(しかも、その動きが実にスムーズ)、リアルな影が迫力を倍増させるというデモだったが、まるで映画でも見ているようで、とてもリアルタイムレンダリングの画面を見ているとは思えないできばえだった(GeForceのさらに凄いデモの一部は間に合えば3月18日発売のMACPOWER誌付録CD-ROMに収録する予定だ。Windows機上でのデモだが、まさに圧巻の力作ばかりだ)。

アップル社自身の新発表に関しては、数が多かったせいか、さらっと軽く流されるものも多かった。

しかし、中でもジョブズが時間をかけて紹介したのがiTunesだった。ビジュアル効果の機能を紹介し忘れたと思い出すと、わざわざスライドを戻して、たっぷり半曲を聞かせてくれた。実はこれこそが新しいiMac発表への伏線だったのだ。

ジョブズ氏は、どの広告が気に入ったか教えてほしいと、5つの新iMac CMのパイロット版を見せたが、いずれもこれまでのようにiMacを単体で紹介するのではなく、『iMac』と『iMusic』による“Music revolution(音楽革命)”を強調したものだった。

1月のMACWORLD EXPO/SAN FRANCISCOでは(そして今回の講演でも)、ジョブズはデジタル・ライフスタイル構想を強調した。これまでアップルが提案したデジタル・ライフスタイルにはiMovieがあったが、デジタルビデオカメラが必要だったりと、何かと敷居が高く、今ひとつ成功しなかった。1月には、アップルはiDVDを発表し、iMovieがますます魅力的になったが、このiDVDが添付するのは今のところ、Power Mac G4最上位モデルのみ。

ということで、まずは誰でも手軽に楽しめるiTunesによるMusic revolutionでデジタルライフスタイルの足場を固めようというのがジョブズ−アップルの考えであり、今回のiMacはまさにそのための製品といえそうだ。

(林 信行)


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