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“世界MSX化計画”を!! MSX公式エミュレーターがついに登場!! “MSX電遊ランド2000”(前編)

――マルチプラットフォーム、マルチOSをサポートする『intent』(インテント)の正体


2000年8月23日

8月20日、“MSX電遊ランド2000”が昨年に引き続き、秋葉原ヒロセ無線5Fの特設会場で開催された。“MSX電遊ランド”は、MSX関連のアマチュア作品の展示を中心としたMSXユーザーによるイベント。今年のイベントは展示のほか、大きな目玉となるMSX公式エミュレーターの発表があった。本稿では(株)アスキー副会長の西和彦氏、アスキーメディア技術開発室室長の山下良蔵氏による講演の模様をお伝えする。

携帯やノートパソコンを9800円でつくる! MSXのワンチップ化計画も

まず最初に、アスキーの西和彦氏による講演が行なわれた。“パソコンでもMSXにもどれる”ように、Windows、MacOS、Linux上で動くエミュレーターを用意するとの結論が紹介された。また、このエミュレーターは、ゲーム機Dreamcast用も可能であるとも説明された。これまでもユーザーによるエミュレーターは開発されていたが、同社による公式エミュレーターは今回初となる。

西氏はエミュレーターなどの展開について、昨年のイベントをきっかけにMSXを「もう1回やる」ことを決めたと語った。

このエミュレーターは、2001年はじめに登場する予定。西氏は無料でダウンロード可能にし、アスキーの雑誌でも付録CD-ROMに収録していく、と語った。

また半導体技術の進歩により、MSXのワンチップ化も可能になっていることも説明。2002年にワンチップ化、2003年に搭載機器の登場というロードマップを示した。このチップは、学習用や組み込み用に販売したいという。「たとえばPS2では1人ですべてを理解しソフトウェアを作成することは難しい」と指摘、「携帯やノートパソコンが9800円でできる」という構想を披露した。

その後、MSXの歴史や以前のワンチップMSXシステムなどを解説した。次世代メディアとインターネットの分析では“それでもテレビが中心”であり、MSXもその流れに沿うべき、とした。

質疑応答では、今後の計画について多くの質問が出された。学習に必要な資料については、参考書を出す、過去のものも再販したいと解答。開発環境はDCやPSなどのものをポーティング、Cなどでもできるようにしたいと述べた。エミュレーター、チップについては、ともに最上位規格turboR互換であると説明、またエミュレーターはソースまでオープンにしたいという。

気になるユーザー製以外のソフトについては、残っている会社のライブラリーを活用する、また新しいソフトを作ってもらうとした。

『intent』(インテント)の正体とはなにか??

夕方からは、アスキーメディア技術開発室室長の山下良蔵氏による講演“intent(インテント)が切り開くPCの可能性”が行なわれた。

山下氏はMSX復活にも大きな役割を果たすintentについて説明

intentは、英国Tao(ダオ)Groupが開発したリアルタイムOS『Elate』を中心とする実行環境。MSXの公式エミュレーターも、このElate上で動作する。

OSであるElateに『intent Java Technology Edition』(JTE、Personal Java実行環境)、『Multimedia Toolkit(2D/3Dグラフィックおよびサウンドライブラリ)』、『Tumbler』(公開鍵暗号システム)を加えたものが、intentだ。

Elateには仮想マシンの命令をネイティブで実行する、グラフィックスライブラリーが高速である、ほかのOS上に実装することもできる、という特徴がある。CPUはx86やPowerPC、MIPS、ARM、SHなどに対応、Windows95・98・NT、WindowsCE、DOS、Linux、OS9ホストOSなどをホストOSにできる。驚くべきことにすべてをアセンブラで記述しており、Javaのバイトコードを変換して格納しておくことで、高速な実行を可能にしている。

山下氏は以上のような説明をすると「マユツバモノ」と判じられたというエピソードを披露。しかしモトローラの携帯電話に採用され、JavaはSun Microsystemsの認可を受けたことにより、理解してもらえるようになったと述べた。

Sunのお墨付きもある、モトローラ製の携帯電話

同社の携帯電話でロードゲームをしているところ。PersonalJava互換なので、かなりサクサク動く
マルチプラットフォーム、マルチOSに対応。ITRONもサポート

Elateはシステム全体をVP(仮想プロセッサ)*命令で動かすことにより、CPU非依存となっている。プログラムは実行前に“トランスレータ”*が動作するCPUの実命令に変換して実行するが、この作業はコンパイルのような難しいものではないとのこと。VPは6万5000ものレジスタをもつ32ビットRISC CPUになっており、プログラムはアセンブラ、C、Javaで開発することができる。トランスレータさえあれば、どんなハードでも動作する。

山下氏はこれまで数多く作られてきたインタープリタによる実行環境では、ロスが大きいことを指摘。実行前に一括変換を行なう仕組みを“コロンブスの卵”と評した。

VP(仮想プロセッサ):Elateのプログラムを特定のハードに依存させないために定められた仮想のCPU

VP(仮想プロセッサ):トランスレータ:Elate独自のVPコードを、ターゲットのCPUの機械語に翻訳する機能。このコードを実行前にまとめて処理するので、逐次的に解釈しながら実行する場合(インタープリタ)に比べてプログラムは高速になる

Elateはマイクロカーネルと“ツール”と呼ばれるモジュールからなる。ツールは約6500個あるが、1個が数百バイトと極めて小さく、すべて搭載しても500K〜600KBにしかならない。必要なもののみオンメモリーにしておくことも、すべてネイティブとしてもつことも可能という。

動作に必要なトランスレータは、3〜4ヵ月で開発可能で、今後ITRONもサポートされるだろうと説明された。またホストOS上に搭載する場合、ファイルシステムはオーバーラップさせることも可能だ。


Elateはバイナリレベルで互換性があるので、どんなOS上でもプログラムを実行できる
 

Java環境JTEは、アスキーの協力により実装されたもの。Personal Java互換でライブラリもアセンブラでコーディングされており、Windows上で実行するとJDKより約10倍ほど高速なこともある。

コンテンツとしては、Webブラウザーも開発されているし、もちろんJavaの各種アプリケーションも使える。課題は、次々と更新されていくプラグインをどこまでフォローできるか、ということになるだろう。


Windows上でJDKよりも高速なベンチマークも紹介された
MSXエミュレータを使って“世界MSX化計画”を推進!!

ここで氏は、MSXエミュレータがElateで開発されていることを説明。Elate採用のメリットのひとつとして、MSX実機では不可能だった携帯版の実現をあげた。解像度さえ十分なら(ワンチップ化を待たずして)、PDA上でもMSXのソフトウェアを実行できるというわけだ。

また、新しいAmigaにintentが採用されていることも紹介された。SDKはintentそのままだが、今後Amiga独自のものが追加されていくことのこと。この“世界Amiga化計画”を見習って、“世界MSX化計画”を、と呼びかけた。

intent採用例として、Amigaにも言及。現時点で入手可能なパッケージでもある

質疑応答の中で、3DNow!のようなDSP命令もトランスレーターで扱えることや、アセンブラ中にネイティブ記述も可能であることが説明された。またCPUの対応について、transmetaへの最適化もあるかもしれないと語った。そして個人用のパッケージは未定だが、エミュレーター発表時にはもちろん利用可能にする、とした。

(狭間太一郎)


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