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「音楽と美術の間にあるグレーゾーンを表現」“デジタル・バウハウス”展関連企画から


1999年9月20日


17日、18日の両日、NTTインターコミュニケーションセンター(ICC)において山路敦斗詩氏、高嶺格氏によるパフォーマンスが行なわれた。これは8月6日より9月19日までICCにて開催された“デジタル・バウハウス――新世紀の教育と創造のビジョン――”展の関連企画である“ICCデジタル・バウハウス”のイベントで、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミーの協力のもとに制作したもの。

音楽と美術のあいだにあるもの
山路敦斗詩氏作曲プロデュースによるパフォーマンス「白と黒で(モノクローム・ミュージック)」の会場風景は、中央にアコースティックピアノが2台、その脇に大型のプラズマディスプレーが2台ずつ、そしてピアノを取り囲む観客席の後ろにプラズマディスプレーが4台、モニターテレビが4台、計12台のモニターが設置され、メディアインスタレーション然とした雰囲気であった。

会場風景
会場風景



演奏中の橋本一子氏と黒田亜樹氏
演奏中の橋本一子氏と黒田亜樹氏



演奏者の橋本一子氏と黒田亜樹氏は入場後、ピアノは弾かず、まず人声とトイピアノによる演奏を行ない、パフォーマンスの幕を開けた。山路氏と技術協力者の北原恵一氏により、声にもトイピアノの音にも、作曲、音響処理に特化したプログラム言語/開発環境であるMAX/MSPを用いたリアルタイムDSP処理が施され、生音とミキシングされていた。

Macintoshを演奏中の山路氏(写真左)と北原氏
Macintoshを演奏中の山路氏(写真左)と北原氏



その後ピアノ演奏に移ると、モニターが明滅を始めた。モニターに表示されているのは単一色で、ピアノの音量をMAX/MSPで感知し、その度合いによって黒からグレー、白へと変化するのだという。黒田亜樹氏のピアノの黒鍵の弦と、橋本一子氏のピアノの白鍵の弦にはそれぞれ木ねじが挟みこまれており(プリペアドピアノという技法)、独特の不確定な倍音をもった音を出していた。

プリペアドピアノという技法。弦にはそれぞれ木ねじが挟みこまれている
プリペアドピアノという技法。弦にはそれぞれ木ねじが挟みこまれている



小銭をのせている音色効果をねらったトイピアノ
小銭をのせている音色効果をねらったトイピアノ



ピアノの音にもリアルタイムDSP処理がなされており、会場を囲む4つのスピーカーから出力されていた。DSP処理で主に用いられたのはバリアブルディレーというもので、入力された音を一時的にバッファーにため込み、その読み出しポイントを任意に変化させることができる。ピアノとは思えない多様な音を生成可能だという。静と動、緩急のある演奏で飽きさせず、弦に挟みこまれた木ねじを演奏者両氏が抜き取り、再び人声とトイピアノに戻ったところで幕を下ろした。

「制作にあたって、まず自分が不自由な状況を故意に作り、そこから始めていきました。音楽と美術のあいだにある、グレーゾーンを表現してみたんです」と山路氏は語る。

作曲プロデュースをした山路氏
作曲プロデュースをした山路氏



高嶺氏の“K.I.T.”は中止
続いて行なわれるはずであった高嶺格氏のパフォーマンス“K.I.T――Being in Touchis Keeping-all-in-Touch”は中止になった。17日の高嶺氏のパフォーマンスのなかで、成人向けウェブサイトの画像が2フレームずつ次々とめまぐるしく現われるという映像が会場壁面に投影される場面があり、それをICC側が好ましくないと判断、2日目は中止ということになったらしい。表現の自由の問題、性に対する意識の問題は、そう簡単に答えの出るものではないのかもしれない。しかし、せめて内容変更の後に開催という形にできなかったものであろうか。とても残念な結果に終わってしまった。

≪小倉一平≫

・NTTインターコミュニケーションセンター
 http://www.ntticc.or.jp/
・山路敦斗詩氏ウェブページ
 http://www.iamas.ac.jp/~sushi/
・高嶺格氏ウェブページ
 http://www.iamas.ac.jp/~max/


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