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日本IBM、“IBM製品デザイン・セミナー”開催−−IBMが描く未来のPC像とは?


1999年9月28日

日本アイ・ビー・エム(株)は28日、“IBM製品デザイン・セミナー”を開催した。当日は米IBM社のデザインチームが出席し、同社製品のデザインコンセプトおよび戦略の紹介を行なった。

まず、CHQ Identity and Design部門のDirectorとして米IBM社のデザイン部門を統括しているLee Green(リー・グリーン)氏が、製品デザインの歴史について「'55年、当社の1社員が(当時のCEOであった)Tomas J.Watson(トーマス・J・ワトソン)に、“IBM製品のデザインはパッとしない”と直訴した。IBMのデザイン戦略は、この事件から始まった」と語った。

CHQ Identity and Design部門のDirectorであるグリーン氏
CHQ Identity and Design部門のDirectorであるグリーン氏



そして、「当社のデザインポリシーは一貫している。まず“使いやすさ、だけでなく、将来ユーザーが何を行なうか、という点まで想定したユーザー第一のデザイン”であること。次に、“すべての製品にIBM製品としての関係性が保たれているデザイン”であることだ」と語った。

次にPSG Design Managerを務めるDavid Hill(デビッド・ヒル)氏が、ThinkPadやサーバー、フラットパネル、デスクトップ製品など、現行製品のデザインを解説し「すべての製品は同じデザインポリシーに基づいて設計している。こうして並べただけでも、同じ会社が作った製品だとすぐ理解できるだろう」と語った。

PSG Design Managerを務めるヒル氏
PSG Design Managerを務めるヒル氏



ズラリと並んだIBMの各製品
ズラリと並んだIBMの各製品



Strategic Design部門の部長を務めるRobert E.SteinBugler(ロバート・スタインバグラー)氏は、同社が開発中の製品を紹介した。

スタインバグラー氏はヘッドマウント型のウェアラブルPCを装着しながら、説明を行なった。この製品についてはインタビューで詳しく尋ねているので、下記を参照してほしい
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真ん中2つは電子ビジネスカード。名刺サイズの大きさで、ボタンを押すことで自動的に自分の個人情報を相手に発信し、同時に相手のカード情報を取得することが可能だという
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電子新聞“e-newspaper”のモックアップ。折り曲げ可能な薄型ディスプレーを数個搭載し、インターネットで取得したニュースを新聞のように表示させる。紙をめくる感覚で、読むことが可能になるという
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次世代DVD-ROMドライブのモックアップ。カラオケ用のマイクがしっかり2本用意されている
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電子本のモックアップ。赤、青、黄の各パネルは下部のクレードルから、インターネット上の情報を取得する。各パネルは取り外して持ち運ぶことが可能。本を読む感覚で、インターネット上の情報を閲覧することが可能になるという
電子本のモックアップ。赤、青、黄の各パネルは下部のクレードルから、インターネット上の情報を取得する。各パネルは取り外して持ち運ぶことが可能。本を読む感覚で、インターネット上の情報を閲覧することが可能になるという



最後に、Design Consultantとして、25年間にわたりIBMのデザインポリシーを築き上げてきたというRichard Supper(リチャード・サッパー)氏が、「“美しいものを作りたい”という芸術的な願望は、合理的や理性的な製品の開発を追究するビジネス界では通用しにくいものだ。それでも我々は、朝から晩まで、何ヶ月、何年経っても使用に耐え、しかも好かれ続けるような製品を今後とも作っていきたい」と語った。

Design Consultantを務めるサッパー氏
Design Consultantを務めるサッパー氏



講演後の質疑応答では、Green氏がiMac関連の訴訟について、「当社もアップルコンピュータもデザインにはかなりの金額をかけている。消費者の目にも明らかな擬似製品を出荷されて、黙っている訳はない。もしIBMの製品を模倣するような他社製品が出たら、(アップルコンピュータと同じように)積極的に訴訟に乗り出すだろう」と語った。

記者会見後、スタインバグラー氏に単独インタビューを行なった。

笑顔が素敵なスタインバグラー氏
笑顔が素敵なスタインバグラー氏



−−先ほどの質疑応答にも出ましたが、(iMacのデザインを担当した)Jonathan Ive(ジョナサン・アイブ)氏を1デザイナーとして、どのように捕らえていますか。

「iMacのようなトランスルーセント素材を利用したデザインは、流行を意識したデザインだと思う。個人的には好きではないが、彼はアップルコンピュータに利益をもたらした。プロフェッショナルなデザイナーとして評価されるべきだろう」

−−講演の際に装着していた、ヘッドマウント型のウェアラブルPCを一般に販売する予定はあるのですか

「現在はあくまで実験用として、医療や工事現場など各業種に貸し出し、使用レポートを提出してもらっている段階だ。寄せられた意見を元に、設計変更を度々行なってはいる。しかし、製品として出荷できる時期はまだ未定だ」

SteinBugler氏が装着していたウェアラブルPC。画面確認用の超小型ディスプレー(左端の突起)とサウンド出力用の超小型スピーカー(中央の黒い円)をヘッドマウントに搭載している
SteinBugler氏が装着していたウェアラブルPC。画面確認用の超小型ディスプレー(左端の突起)とサウンド出力用の超小型スピーカー(中央の黒い円)をヘッドマウントに搭載している



−−入力および出力デバイスはどのようになっているのですか

「入力デバイスは、当社のViaVoiceテクノロジーによる音声認識のほか、腕に装着する小型タッチパネルなど複数を用意している。音声認識用のアプリケーションは各業務用にカスタマイズされており、各専門用語を中心に収録することで、ファイル容量を小さくしている。出力デバイスにはヘッドマウント型の半透明/超小型ディスプレーを採用している。現実の世界との関わりを失わずに、情報にアクセスすることが可能だ」

−−詳しいスペックはどのようになっているのですか

「このウェアラブルPCは、ThinkPad570を凝縮したものといっていいだろう。CPUには、インテル社のライセンスを受け、独自技術により再設計したモバイルPentium II-233MHz互換の超小型プロセッサーを搭載している。来年には、モバイルPentium II-300MHz相当のCPUを搭載する予定だ。記憶装置には当社のマイクロドライブを採用し、専用のスロットを2基装備している。来年には1GBのマイクロドライブメディアの販売が予定されているので、合計2GBを記憶容量を持つことが可能になるだろう」

−−半透明のボディーを採用しているのはなぜですか

「別にiMacを意識したわけじゃないよ(笑)。2〜3年前に初めて設計した段階から、つまりiMacの開発前から半透明のボディーを採用していた。当社のテクノロジーが凝縮された姿を見てほしい、という理由から半透明にしてあるんだ。実際に市場へ出す場合は、当然ボディーの色を変えるよ」

(編集部 寺林暖)


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