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“‘ネット_コンディション'展――バルセロナ・グラーツ・カールスルーエ・東京”


1999年9月29日

9月25日から10月6日まで、NTTインターコミュニケーションセンター(ICC)において開催されている、“‘ネット_コンディション’展――バルセロナ・グラーツ・カールスルーエ・東京”では、オーストリア、ドイツ、スペイン、日本の4ヵ国連動のネットワーク・イベントに参加できる。

芸術祭“シュタイアーマルクの秋”(オーストリア・グラーツ/ピーターバイヴェル氏企画)、“カールスルーエ・メディア&アートセンター(ZKM)”(ドイツ・カールスルーエ/ジェフリー・ショー氏企画)、“MECAD”(スペイン・バルセロナ/クローディア・ジャネッティ氏企画)、“NTTインターコミュニケーションセンター(ICC)”(日本・東京/伊藤俊治氏企画)の4機関で、それぞれインスタレーションやネットワーク作品の展示が行なわれている。ICCのイベントと合わせて、これら各国で行なわれているイベントにネット上からアクセスしてみると、より面白さも広がるだろう(関連リンク参照)。

日本のICCでは、彫刻家・小谷元彦氏の『engulf』、写真家・港千尋氏の『The Book of Metamorphoses〜変身の書〜』、建築家・渡辺誠氏の『ファイバー ウエイブ III』、メディアアーティスト・藤幡正樹氏の『ナズル・アファー(インターネットバージョン)』の4作品が展示された。

会場風景
会場風景



静謐(せいひつ)さを感じさせる『engulf』

『engulf』
『engulf』



小谷氏の『engulf』では、インターネット上に砂浜の映像が公開されていて、クリックすることでそれが変化し、波の音が聞こえる。会場のICCには高さ4m、幅1.5mの砂浜の映像が壁面に投影されており、ネット上の作品へのアクセス数に応じて波が打ち寄せては消えていく、という作品。日々加速化が進むインターネットを利用した作品でありながら、瞑想的静謐さをもつ深みのある
作品であった。

予知のプロセスを体験する『The Book of Metamorphoses〜変身の書〜』

『The Book of Metamorphoses〜変身の書〜』
『The Book of Metamorphoses〜変身の書〜』



港氏の『The Book of Metamorphoses〜変身の書〜』は、中国の易経をベースにした作品。観客は港氏撮影の世界各国の写真のなかに隠されたメッセージを探し出し、クリックすることで次の写真を見ることができる。その選択を6回繰りかえすことにより、最終結果が得られる。このプロセスはインターネット上で公開されており、だれでも参加可能。会場のICCにはサーバー機が設置されており、いままで作品を体験した人の軌跡をたどることができる。連続した写真にはそれほど関連性はなく、旅の持つ行き当たりばったり感を感じさせると同時に、それが占いのイメージとも繋がっていくようであった。

不可視なものを可視化した『ファイバー ウエイブ III』

『ファイバー ウエイブ III』
『ファイバー ウエイブ III』



渡辺氏の『ファイバー ウエイブ III』は、岐阜、東京臨海副都心、シカゴに設置され稼動している、風にそよぎ太陽エネルギーで発光する環境アート作品である『ファイバー ウェイブ』、そのインドア版の発展形。世界の都市の風や太陽風、ユーロの為替相場の変動などを“風”としてリアルタイムに感じることができる『ファイバー ウェイブII』に続く作品。観客は風にそよぐロッドのなかをリアルタイムにウォークスルーすることができる。作品はネット上で公開されており、“EON-Viewer”(米国EON Reality社製/無料)をダウンロードすれば閲覧できる。見えない空気の流れを見ることから出発して、太陽風や為替相場まで可視化するところまで掘り下げられているところに、コンセプトの明快さと一貫性が感じられる作品であった。

コミュニケーションツールの可能性を探る『ナズル・アファー(インターネットバージョン)』


『ナズル・アファー(インターネット・ヴァージョン)』の変形したアバター


藤幡氏の『ナズル・アファー(インターネットバージョン)』は、参加者がサイバースペースのなかで仮想の身体(アバター)をコントロールしながら、ほかのアバターと会話をしたり、一緒に空間を回遊したりしてコミュニケーションをとることができる作品。アバター同士での1対1のチャットのほか、自分のタイプした言葉が空間を飛んでいくモードもあり、複数でのチャットも楽しめる。また、アバターが移動した軌跡が毛糸の玉を転がしたように残り、ほかのアバターがそれを追跡してきて遭遇することもある。さらに、特定のキーを押すことでアバターが変形し、非言語コミュニケーションもとることができる。

会場のマシンにはドイツのZKMから接続しているアバターがいたのだが、時差の関係上向こうは睡眠中らしく、じっとしていたのが残念であった。しかし、逆にそれが親しみを感じさせた。現在ベータ版がインターネット上で公開されている。

(小倉一平)


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