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“国際Dシネマ映画祭”長編最優秀作品はルゥ・シュエチャン監督の“契約”に!


2006年7月25日

“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006”が無事閉幕

15日に開幕したデジタルシネマの祭典“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006”が23日、短編部門ならびに長編部門の表彰式を行ない、閉幕した(関連記事1(開幕レポート)関連記事2(シンポジウムレポート))。長編部門の最優秀作品賞は、中国からエントリーしたルゥ・シュエチャン(Lu Xuechang)監督の“契約”が受賞。表彰式には主演のリ・ジャーシュエンさんとパン・ユエミン氏も登壇し、喜びを分かち合った。新人監督賞は、“プレイ”の女性監督のアリシア・シェルソン(Alicia Scherson)氏が選ばれた。短編部門は市民からの声に押されて急遽、審査員特別賞が2名選ばれるも、最優秀作品賞は該当なしという結果に終わった。

閉幕を告げるスクリーン
9日間繰り広げられた映画祭も、ついに幕を閉じる時がきた
表彰式会場の様子
会場は開幕のときと同様に、満席となった

表彰に先だって、埼玉県知事の上田清司氏と総合プロデューサーの八木信忠氏が挨拶した。上田県知事は「デジタルシネマの可能性を持った、素晴らしいテーマを持った作品が揃った。Dシネマ映画祭は世界を代表する映画祭として、SKIPシティが映像産業の拠点となるように全力で取り組んでいきます」と述べ、八木氏は「言葉を超えたメッセージが伝わってきました。観客と監督のQ&Aのコーナーがあったのもよかったのではないでしょうか? 映画祭は今日で閉幕しますが、今後も若い作家を支援して行きます」と語った。

審査委員の顔ぶれ
審査委員の方々。左から、リチャード・ジョブソン氏、ロバート・アラン・アッカーマン氏、奈良橋陽子さん、李鳳宇氏、高嶋政伸氏

表彰は短編部門から行なわれた。短編部門国内コンペティションは国内から301作品がエントリーし、11作品がノミネートされた。デジタル技術によって映画制作に対するハードルが低くなったことで、多くの若い才能が続々エントリーしてくる傾向にある。審査は俳優の高嶋政伸氏を審査委員長に、“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭を応援する市民の会”より、田代しんたろう氏(漫画家)、国弘よう子氏(映画評論家)、内藤周作氏(川口青年会議所副理事長)、中嶋 章氏、江原文夫氏(いずれも特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会)の5名が審査にあたった。受賞作品は以下の通り(敬称略)。

■短編部門(国内コンペティション)

[審査員特別賞]
(主催者賞:賞状)
“Catchball With ニコル”
“Catchball With ニコル” 監督:浅野晋康(59分/2005年/DV/DV)
“緑玉紳士”
“緑玉紳士” 監督:栗田やすお(48分/2004年/DV/DV)
[奨励賞]
(主催者賞:賞状、トロフィー/川口市民賞:トロフィー、副賞賞金50万円)
“tough guy!2005”
“tough guy!2005” 監督:岸本真太郎(7分/DVD/DV) (c)Kishimoto Shintaro
“花筵”
“花筵(はなむしろ)” 監督:吉村真悟(35分/DV/DV) (c)2005 Yoshimura Shingo
“愛の矢車菊”
“愛の矢車菊” 監督:樋渡麻実子(45分/2005年/DV/DV)
[最優秀作品賞]
該当作品なし
最優秀作品賞は該当なし
短編部門の最優秀作品賞は該当なしだった

発表は川口市長の岡本幸四郎氏が、プレゼンターは審査委員長の高嶋氏が務めた。受賞作品が読み上げられると、小さくガッツポーズをする監督や、仲間と受賞を素直に喜び合いハイタッチする姿も見られた。壇上に上がって高嶋氏から賞が贈られると、皆一様に満面の笑みを浮かべていた。

審査員特別賞を設けた理由について高嶋氏は「審査員特別賞は市民の皆さんからの圧倒的な人気を得た作品で、そうした声に取り入れて急遽、設けることになりました」と語った。受賞理由について高嶋氏は「“Catchball With ニコル”、“緑玉紳士”のどちらもユニーク。“Catchball With ニコル”は日本に暮らしている登場人物たちがクリアで面白い作品でした」と説明した。

浅野晋康監督
短編部門の審査員特別賞を受賞した“Catchball With ニコル”の浅野晋康監督

“Catchball With ニコル”で受賞した浅野監督は、「服部くん、松永くんと3人でがんばって作った作品です。たくさんのみなさんに観ていただいてうれしいです」と語った。すでに興行も経験し、多方面で話題になっているパペットアニメーション作品“緑玉紳士”の栗田監督は、「映画祭で皆さんの目に止まる機会ができてよかったです。これは主演男優の“緑玉紳士”です」と言って、作品の主人公となったパペットを紹介していた。

栗田やすお監督
短編部門の審査員特別賞を受賞した“緑玉紳士”の栗田やすお監督
グリーンピース
“緑玉紳士”の主演俳優(!?)のグリーンピース

奨励賞は、最優秀作品賞が該当なしとなったからか、2作品の予定が3作品が受賞することとなった。それぞれの受賞理由について高嶋氏は「“tough guy!2005”は変わったパワフルな作品。男性審査員に人気がありました。今後に期待したいです。“花筵”は俳句を映像化する一風変わったところが特徴的。北九州の土地の匂いがしてくる作品でした。“愛の矢車菊”は一見ドキュメンタリータッチな作品。鎖で繋がっているような共犯関係に監督が踏み込んで行くところが、実力があると言わざるを得ません」と評した。

岸本真太郎監督
短編部門の奨励賞を受賞した“tough guy!2005”の岸本真太郎監督
吉村真悟監督
同じく“花筵”の吉村真悟監督
樋渡麻実子監督
“愛の矢車菊”の樋渡麻実子監督

“tough guy!2005”で奨励賞を受賞した岸本監督は、「面白さに特化した作品だったのがよかったのかな、と思います」と率直な感想を述べた。“花筵”で受賞した吉村監督は、「まさか受賞すると思いませんでした。祖父と母と、お金がない時にごちそうしてくれる東京の母にお礼を言いたいです」と喜びを語った。オープニングレセプションで「本当にいい作品なのでぜひ見てください」と自信に満ちた印象的なコメントをしていた“愛の矢車菊”の樋渡監督は、「なかなか(作品を)観てもらえる機会がないので、(映画祭で観てもらえて)うれしいです。このお金でまた映画が作れます」と次回作への意気込みをあらわにした。また、授賞式後の記者会見では「私の作品を選ぶなんて勇気のある映画祭だと思います」と、さらに印象的なコメントを残すなど、今後の活躍が楽しみな監督がまたひとり現われたようだ。



短編部門はつかみ合い殴り合いになるほどの激戦区!?

高嶋政伸氏
総評を行った審査委員長の高嶋政伸氏

最後に高嶋氏が総評を行なった。「作家のオリジナリティ、独自性、物語(シナリオ)としての完成度、それをまとめていくセンス(絵)、それらを支えている作家としての気迫や情熱がどのぐらい強いか、どのぐらい期待できるかが、審査の基準です。昨日、審査員のみなさんと殴り合い、つかみ合いになりそうになりながら数時間に渡って激論し、寿命が縮まる思いでした。最優秀作品が該当なしとなったのは、バランスが良すぎて“映画の枠を飛び出してくる”ものを感じることができませんでした。独自性のある、独創的な一本で世界をひっくりかえすような作品を期待ています」と振り返った。




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